ムッツ
2009-05-31 22:24
Re:夜の窓ふき
草木も眠る丑三つ時、
彼女がいつものように猫たちと遊んでいると、
突然玄関のチャイムが鳴りました…
ぴんぽーん
『誰だろう?』
そう思いながらも真夜中の突然の訪問に、
玄関に向かう気にはなれず、ひっそりと息を潜める彼女。
ぴんぽーん
ぴんぽーん、
ぴんぽーん
繰り返し鳴るチャイムに、
しだいに疑問よりも不安の方が強くなる彼女。
猫たちが不思議がって扉のほうに向かおうとするのを必死でなだめます。
『じっとしてて!』
猫たちを抱え込みますが、鳴り止まないチャイムに猫たちは落ち着きがない様子。
ふとした一瞬、一匹の猫が彼女の手を離れ、扉に向かって走り出しました。
『ドンドンドンドンッ!』
ビクッ!として慌てて引き返す猫。
扉の奥にいる誰かが激しく扉を叩きはじめたのです!
『何?何なの?』
恐怖を抱きつつもこの時間にこの大きな音。
近所のことを考えると理不尽な珍客に腹立たしさも感じてきます。
『誰なのか確認してみよう』
そう思い立ち、足音を立てずに玄関に近づく彼女。
その足元にぴったり寄り添い、不安げについてくる猫たち。
ドンドンと鳴り響き、震える扉。
その真ん中にあるドアスコープをそーっと覗くと…
『キャーーーーー!!!』
押し殺そうとしていた意識を外れ、思わず出てしまった悲鳴。
ドアスコープいっぱいに男の人の顔が!
あまりにもドアの近くに立っているようで顔が暗く影になり、表情をうかがい知ることができません。
『誰?何なんですか?警察を呼びますよ!』
パニックになって騒ぎ立てる彼女。
足元にはただ事ではない状況を察し、全身の毛が逆立ったまま動きが止まる猫たち。
揺れが止まる扉。そして静寂。
しばらくして再びドアスコープに目をやると…
そこにはドアから離れ小さくなった男の姿が。
おどおどしていて意外と気の弱そうな男性。
『いったい何なんですか?』
落ち着きを取り戻し、強い口調で彼女が問いただすと男が小さな声でもごもごとしゃべり始めた。
「こっちを見てハートマーク描いてたでしょ?」
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真夜中の窓掃除にはお気を付けを。
ふと、向かいのマンションの窓で、七瀬さんにはあと描かれた日にゃあ、
僕だったら悩殺されちゃいますっ!
ドキドキしながら、コメントを入力しなさい。きらーん